けもフレロスに備える名作リスト
・・・のつもりで、いわゆる終末もののうち特にポスト・アボカリプティック・フィクションの視点で古今の作品を選んでたんですけど、
結局、ひとつの作品が突出してしっくりきたのでもうそれでいいやσ(^_^;)
(候補リストは後述)
その作品とは
直球表題ロボットアニメ - Wikipedia
これ、けものフレンズを制作しているヤオヨロズの最初の作品という点でも縁が強いだけでなく、
けものフレンズの「ポスト終末(アポカリプス)もの」という点の他にも多くの評価すべき共通ポイントがあるのです。
まあ、gdgd妖精'sの流れをくむ作品なので、声優さんたちのアドリブが作品の肝であり、この点は、けものフレンズとは大きく異なるように思えます。
が、作品を思い返してみると、けものフレンズがけものフレンズである点を一歩引いて比較してみると、意外に世界観が近いのではないかと、と思うにいたりました。
いわゆる終末ものの作品は、ポスト終末モノに限っても星の数ほどあります。
しかし、「直球」ほど、けものフレンズの特徴をくまなく備えている作品はあんまり思いつきませんでした。
その特徴を並べてみましょう。
ポスト終末もの:
終末「後」となるだけでかなり作品はしぼりこまれます。ゾンビものは「終わりつつある世界」なのでほぼ除外。ロメロのLand of Deadあたりまでいくとボアものと言えるでしょうかね。「直球」は人類の遺したものをロボットたちがあれこれ考える(アドリブ大喜利でw)というのが基本プロットです。
ロードもの:
旅物: 全ての物語は旅立ちと帰還の物語だ、とは言いますが、ここはやはり何かを求めての旅という構成が望ましいですね。「直球」では、場所の移動は顕著ではないのでこの点はちょっと弱いのですが、謎の感動を呼ぶ最終回への思索的彷徨としてみるとこのポイントも少なくはありません。
コミュニティの不在:
ボアものではそこに生き残ったものたちによる社会を描くことが目的だったりします。ナウシカとか典型的ですね。ところが、けものフレンズでは出会いはあるが、コミュニティとの出会いや終末後の社会というものがないです。それ故に、おのれとは何かという問いへの彷徨、そして終わってしまった世界の影が際立つのです。
「直球」は、限られたロボットたちの彷徨に終始し、追い求める笑いの向こうに世界を取り戻そうとしている物語です。
(・・とか言ってるうちに第6話で、集団同士での武力衝突が描かれてしまった・・)
廃園:
けものフレンズのエンディングで暗示される破棄された遊園地という背景。これ自体が色々と想像と郷愁を思い起こさせるテーマです。「直球」ではロボットたちのボケ合いが、そこはかとないアトラクション感を想起させてくれています。
優しい世界:
これは上記のコミュニティの不在にも大きく関係する特徴です。コミュニティを描くことは社会の構成を描くことであり、また人同士の関係性を描くことでもあり、そこに何らかの「優しくない」世界をも描くことになります。けものフレンズでは、子供番組的なむき出しのパーソナリティのみの世界によってひたすら優しいエピソードを積み重ねています。「直球」は緩いボケが同様な優しさを描きますw
ヴァーチャル世界:
これはまだ可能性のひとつであるけれどもジャパリパークそのものがヴァーチャルなサファリパークであるということは、多くの考察者たちに提示されています。
わたしも考察にのっかりました。
amori.hatenablog.com
「直球」は色々な意味でヴァーチャル空間でボケ倒してますのでw、そのメタさ加減をお楽しみください。
以上を踏まえて、生暖かい目で直球表題ロボットアニメをみていただければ、謎の感動を呼ぶ最終回で、このチョイスの意図をご理解いただけるかと
追記
やはり似たようなことを思う人はいるようです。
togetter.com
直球ロボットについて詳細あります(ネタバレあり)
以下、当初の候補リストですが、あまりにおっさんチョイスになってしまったので、
それぞれのポイントは、気が向いたらということでσ(^_^;)
※リストを発表順に並べ直してみました
・・・80、90年代がすっぽり抜けてるのとこに偏りが如実に出てますなあw
タイトル | 作者 | 発表年 | 備考 |
太陽系最後の日 | アーサー・C・クラーク | 1946/5 | 「破滅の日」収録 |
新ロト記 | ウォード・ムーア | 1953 | 同上 |
地獄のハイウェイ | ゼラズニイ | 1967 | |
ふたりは空気の底に | 手塚治虫 | 1970/4/10 | 「空気の底」収録 初出 プレイコミック |
宇宙戦艦ヤマト 小説版 | (原案:豊田有恒・著:石津嵐) | 1975 | |
ぼくを探して(絵本) | シルヴァスタイン | 1976 | |
ストーカー (映画) | タルコフスキー | 1979 | |
グラン・ヴァカンス 廃園の天使 | 飛浩隆 | 2002 | - |
恋する死者の夜 | 古橋秀之 | 2005/10 | 「ある日、爆弾が落ちてきて」収録 |
ゼーガペイン | (アニメ) | 2006 | - |
マッドマックス 怒りのデス・ロード | ジョージ・ミラー | 2015 |