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amori's blog

よろず技術系と趣味関係の雑記です

「この世界の片隅で」一生記憶に残るであろう映画

アニメ 映画 コミック ドキュメンタリー ドラマ

・・・すごい「映画」を観てしまった。

公開から2週間、既にそうそうたる批評家たちからの絶賛の嵐の中今更ではあるが、やはり語らずにはいられない。

冒頭のシーンこそ、こうの史代の可愛らしい絵柄でほんわか観ていたのだけど、
シーンがいくつか進んだところで、もう映画の世界に魅入らされてしまった。
完全に没入してしまったといっても過言ではない。

物語は、広島から呉に嫁いだ、すず、という女の子を戦前から戦中・終戦あたりまで描いたものである、
と書くと、数多くのドラマや映画、連ドラや終戦記念日特番などで描かれてきた戦中もののひとつかと思われるだろう。

その通りである。

物語の起伏は既存の数々の物語に比べるとむしろ非常になだらかであるかもしれない。

しかしその作り込みが尋常ではなかった。
あとで監督インタビューを読んで知ったことだが、監督はコニー・ウィリスのタイムトラベルもののように、観客を当時にタイムスリップした感覚で物語を感じてもらうべく、徹底的に調査考証をしたそうだ。そしてすずさんを実在した人物として感じて欲しい、と。

そのために注ぎ込まれた監督・スタッフ、そして呉市の後援会の方たちの膨大な努力は狙い通りに、そしてその思惑を超えて結実していると思う。

わたしは上映中たしかにすずさんと同じ世界の空気を感じていた。
そして鑑賞から1週間過ぎた今ではその記憶は、物語のそれではなくそういえばそんなこともあったかなあ、という自身の視点からの記憶に溶け込もうとしている。

きっとこの先この映画の記憶は、本当に記憶 ー 子供の頃ひと時を過ごした引っ越し先や旅先、父母祖父母たちから聞いた戦中の話、そしてみずから体験した震災の非日常 ー とともに、だんだんと区別なく心に留まりつづけるのではないかと感じている。

本当にすごい「映画」だ。