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amori's blog

よろず技術系と趣味関係の雑記です

映画評論家に騙されてはいけない(マッドマックス)

今さらなんですが、マッドマックス(Fury Road)観ました。

 

いやー噂通りに全編ヒャッハーで面白かったです。

 

何が凄いって、あれだけほぼ徹頭徹尾桁外れのアクションシーンで構成されてセリフも解説も語りもほとんどないにも関わらず、しっかりと本来のストーリーが構築されており、終末ものとして空前絶後の大傑作だという。

 

ほとんど説明されなかった要所要所の描写が実に巧みだったので、見落としなかったかなーと超映画批評を読んでみたら、なんと95点。

さすがわかってらっしゃる。さて描写の解説はどうかな・・・・

・・

・・・・・おいっ

 

ひたすらヒャッハーのとこ絶賛だけじゃん。

町村智浩も同んなじとはどーゆーことだ。

 

なにもひねくれた見方しなくたって、あれエンディングはほとんどバッドエンドじゃんか。そこが本作品の最高の部分なのに何故それに触れない。

 

いちおう以下ネタバレになるのでこれから観る人はまた後で。

 

 

 

 

この作品表面的には、荒廃した世界で資源を独占している独裁者をマックスが倒して民衆を解放するという勧善懲悪の痛快アクションシーンストーリーなのだが、

真のストーリーは、

荒廃した世界の中で人類再生にもう一歩まで迫っていたイモータル・ジョーの世界を通りすがりマックスが破壊して去って行く

という滅茶苦茶(褒め言葉)救いのないものだ。

 

これ、なにも捻くれた見方をするまでもない。

 

・限りある資源と環境の中で、ジョーは水耕栽培による農業の再生実現し、

   (汚れていたのは土なんです)

・奇形の人間が溢れる中で、ようやく完全な赤ん坊を得るところまでこぎつけていた

 

というのはハッキリと描かれていたでしょう。

そもそもジョーの悪行ってなんか描写ありましたっけ?

 

・民衆に対して水を少ししか与えず飢えによって支配していたように見えるのは、

→限られた資源で人類の再生を目指すためには、リソースを最適配分しなければならない。

・女たちを貞操帯で拘束してたのは、

→完全で健康な次世代を得るために交配を厳密に管理するため

・執拗に女を取り戻しに来たのは、

→もちろん健全な人類の母体として代わりがいないもの

 

途中、やたらケチなオッさんが出てきて爽快にヤられてましたが、あれも単なるカタルシス用のやられ役というだけでなく、ジョーが損得一切抜きで女を達を取り戻しに来ているということを示しているわけで、本当に後がないということを意味してるんでしょう。

 

他にも背景描写や数少ないセリフの中にこれらを補完するものがありました。

 

全編のヒャッハーを堪能してジョーを倒し世界を奪取したことに爽快感を感じたとしても、ハタと物語を振り返ると、物語の前景と背景が完全にひっくり返ることに気がつくはずです。その時こそ、観客の一人として独裁者の死に歓喜した自分自身が、真の救世主の死を気付かずに狂喜している衆愚のひとりであることを叩きつけられるわけで、

この二重構造こそがマッドマックスシリーズ最高の、いや映画史上でもほとんど類を見ない傑作になっているのです。

 

映画評論家がこんなあからさまに仕掛けに気がつかないわけがない。

彼らは意図的にこの構造に触れることを避けているとしか思えない。

 

ヒャッハーは全部自分に返って来るのだ。それこそ絶望的なバッドエンドエンドであり、それが素晴らしいのだ。

騙されてはいけない。