amori's blog

よろず技術系と趣味関係の雑記です。アニメの比重が高くなってます・・

貴族探偵 第10話 もう、いちげんさんノーケアですな(´ー`)

「こうもり」で大盛り上がりのままいよいよ最終エピソードです。

・・・ただし一般視聴者置いてきぼりでw

第2話の感想で、
amori.hatenablog.com

「バブルの時にすら見られなかった、芯の通った狂った(褒め言葉)ドラマ製作をクールの最後まで続けさせてあげるべく微量ながら応援させていただきますわ」

と書きましたが、この時に想像した以上に振り切ったスタイルのままゴールできそうで嬉しい限りです。

原作のミステリのコアを損なうことなく、脚本・演出そして役者陣の演技によって、(良い意味で)はしゃぎ切ったドラマとしての映像を、小説の枠を超えた作品を実現し、そしてファン層も色々な意味でw大幅に拡大したのではないかと思います。

その最大の要因は、やはり狂気の決断と決意でしょう。褒め言葉ですよ(^。^)

視聴率がどうなろうと、やりたいことやれることを月9として可能なリソースを可能な限り全部ぶち込む。主役級役者を湯水のように使い倒す。シリーズ構成としての大きな仕掛けも盛り込む。だから数字に左右されるテコ入れや軌道修正はやらない。
視聴率至上主義の月9で、これを狂気と呼ばずしてなんと呼ぶべきでしょうかw

そして最終エピソード。
もうねこれ、この狂気に喜んでついてきた視聴者たちに向けて、最適化した脚本構成演出ですよね。
それなのに「まだ」8%もある。いくら相葉君推しの一大勢力があったとしても、これは「狂気」の勝利でしょう。

前編の事件編、客観的に一本のミステリドラマとしてみれば、全くもって面白くないものですよ。
・半裸のイケメンによる中途半端な脅迫文の導入。
・館に集まる人物たち・・えー?普通は絶海の孤島でのクローズドサークルじゃないのぉ?
・あからさまな鈍器・・もとい、オブジェの配置。あー、これが狂気じゃなくて凶器なのね。はいはい。
・ディナーシーンもひねりないなー。だいたいなんで探偵遅れてくんのよ。てか、ドレス贈ってくれた友人って意味あんの?これとか百合要素とか謎解きに関係あったりすんの?
・なかなか事件に起きないなー。あ、過去の事件の因縁なのね。その真相を知ろうとするヒロインね。まあ、ありきたりかな。
・やっと事件起きたわ。え、今週これで終わり?なんかへんな服の人が・・あ、これが相葉君なの。来週は相葉君が解決する話か。けど、こんな事件の解決だけで一時間持つの?え、拡大?

てな感じだったのではないでしょうか(´ー`)
来週数字下がっても全然驚きませんよ。てか、数字が上がるとしたら、これまでついてこられた訓練された視聴者たちがリアルタイム視聴者する状況しか考えられない。

第9話まで喜んで観てきて、原作もフォローされた人なら、上記の「つまんなかったポイント」がことごとく強烈なフックになってることは、もうお判りですね。
そして麻耶ファンにとってドレスで遅れた探偵やパースデーケーキまでもが、ツッコミどころだという。

いやあ、解決編楽しみだなあ。
シリーズ全体の謎も、シリーズそのものに散りばめられた要素を使った、いちげんさんへの気遣い無しの展開で突っ走ってもらうことを期待してますわ(^。^)

追記:最終回視聴率 9.8%だったそうな。テコ入れのおかげか、生視聴ガチ勢が増えたのか。いやあよかったよかった(^。^)

正解するカド 第10話 ・・異方≠高次元

前回の展開から、第10話で語られた内容はまあ予測の範囲内でした・・悪い意味で(T_T)

沙羅花他の異方存在が我々の宇宙を創世から観てた、ってのはまあいいとして、なんでメンタリティがそんなに陳腐な人間くさい自然志向なんですか・・

でもって、バトルも結局、愛が全てを救うみたいな展開に加えて、気がついたら事後のワイシャツサービスカットとかw


・・・ここまでベッタベタの手垢にまみれた展開を見せられると、逆にもう一回ひっくり返し返してくるんではないかと期待してしまいますわw

というのは、今回のエピソードで「次元」というワードを安易に使っているのにとても違和感を覚えたからです。

第3話でヤハクィが自分たち(もしくはノヴォ)の世界を「異方」と呼び、真道が「高次元世界」と例えたのを「その例えは齟齬がある」と否定しました。
このやり取りはこの宇宙がバーチャルリアリティとしてノヴォに作られたもの、と確証するひとつでもありました。

なのに今回のエピソードでは、
こちらの世界に入ってしまうと次元が落ちてしまう」とか
「高次元のままの私に勝てるわけがない」とか、そう言えば前回での説明も「高次元世界での情報不足」をコンタクトの理由としてたり、
どれも最初の「次元」の扱いとずれを感じてしまいます。

まあ、これを合理的に解釈するならば、
ヤハクィも沙羅花もこっち側にいるがために、高次元な存在に転化してる」
というう理由付けと考えられなくもありません。

それ故に、これからノヴォ本尊への干渉が始まり、この作品の当初の「人類との共通理解がありそうで怪しい超知性体との不穏なファーストコンタクト」というテイストへ回帰することにまだ希望を持っているのです。

それに、創世の頃にいた沙羅花以外の異方存在の行方もまだわかりませんし、品輪助手の活躍もあるかもしれず、さらに残り2話でもビジュアルの隠し球が残ってるそうなので、まだまだ新たな展開の希望は残ってると信じてるのです。

ただ、11話の予告だと、沙羅花と真道の反撃っぽい描写があったやうな。まだベタ展開かなあ。
ま、このまま終わってもトータルリコール以来の夢オチ投げっぱなしジャーマンという怪作として納得しますけどね(´ー`)

正解するカド 第9話からの考察

第9話、驚愕のラストからの衝撃からようやく立ち直りつつありますので(^。^)、気をとりなおして「あの展開」の意味と今後の展開を考察してみたいとおもいます。

これまでのカド関係の記事はこち
amori.hatenablog.com

** 以下、第9話の内容に思いっきり触れますのでご注意を **

さて、バカSF、もとい、バトルモード展開という驚愕のラストで、口あんぐりの方多数と思われます。(わたしもですw)
これには少なからず批判的な声もあり、
特に第9話でのヤハクィの行動が、これまでの超越的な異方存在の描写に対してあまりにも浅慮で人間臭い、という点についてコメントが多かったように思います。

確かに第8話ヒキでの怪しい表情から、余りにもステレオタイプな悪役っぽい行動というのはそのとおりだと思います。

・真道を異方に連れて行きたい
・合意を得られなかったので、4時間前にセーブしてた真道でやり直そう

この流れがどうにも人間臭く、別に真道の合意なくても異方存在の能力使えば、これまで散々コピーしてた真道のスナップショットを連れてけばいいんでないの? と、思いますよね。

しかし忘れてはいけないのは、
「ヤハクィも沙羅花も異方存在のオリジナルの存在ではなく、カドとこちらの宇宙に構築された自律的なアバターである」
ということです。
そもそもノヴォ側に人としての感性や善悪の概念がある可能性すら相当低いはずで、
今回のエピソードでヤハクィが人間臭く描かれていたというのは、ヤハクィという対人類へのインターフェースであるアバターが人間との自然なコミュニケーションを、本や縁日散策wなど、で習熟したからであり、カドの空間において人間にわかりやすいように表現されているからでしょう。
沙羅花のバトルモードも同様で、ヤハクィと沙羅花のカド内でのコンフリクトを人間にわかりやすい形でカド内で表現したら、沙羅花の人間界での知識と嗜好からああなってしまったというだけで、高次の世界ではもっとわけのわからないハッカー同士の攻防のようなものがあったのではないかと思われます。

これから、もしバトルが繰り広げられ、それが魔法少女ものぽかったりステレオタイプな能力バトルだったり、魔法陣のぶつけ合いだったとしても、
それはあくまで人間に伝わる表現というカドによる翻訳の結果ということで楽しめばよいのではないかとw

・・・ヤハクィもアニメ観てたのかな。


さて、次回のポイントは、なぜヤハクィは真道を連れていこうとしたのか、そして沙羅花はいつからどのような形でこちらの宇宙に構成されたのか、のあたりでしょうか。
きっと沙羅花とのバトルもしくは交渉の過程で明らかになるでしょう。

人類の文明を、情報の繭、とか、特異点とか呼んでたあたりに、単なるバックアップでは事足りない要素があるのかな。



そしてもう一人キーパーソン品輪助手が控えています。
まだ3話残ってますので、とんでもないかとやらかしてエンディングを派手にしてくれるのではないかと期待してます。

品輪「カドできましたー」とかで当初予想の線を実現してくれないかなあ・・・

貴族探偵 「こうもり」

なんか今日貴族探偵の記事へのアクセスが急増してまして、当ブログ一カ月ぶんのアクセスを半日で軽々と凌駕してしまいました。

amori.hatenablog.com
今頃、こんなマイナーブログの少し前の記事にまでたどり着いていただけるとは、皆さん「こうもり」回のインパクトがそれほど強かったんですねえ。
わたしも各クラスタ推しのお陰で原作既読再読でドラマを視聴して、ドラマスタッフの掌の上を転がされる快感を存分に楽しませていただきました。

まあ改めて語るべきことはほとんど残ってないのですが、わたしもその悦楽を伝えるべく、ちょっとだけコメントしたいと思います。

*** 以下、思いっきりドラマの内容と原作の仕掛けに触れますので未視聴未読の方はご注意を ***

映像化不可能と言われた「こうもり」ですので、まずはドラマとして以下に映像のとりっくを用いるか、そして原作のミステリのコアをどのように残すかが最大の注目点であったわけで、
そのため冒頭のカメラワーク、「ちょっと不自然に人の顔が隠れるような、もわーっとした動き」あたりで、もしや本当に映像でトリックを仕掛けるつもりなのか?、と原作組にジャブを放ってくれましたね。
それから全員の集合写真とか、思わせぶりなカットが続きました。

このあたりが、ぐるっと回ってミスディレクションになってるというのは原作組の特権ですw

そして舞台を温泉からキャンプ場に移して場面が分散するところを最小限にし、かつ登場人物およひイベントを最小限にしつつオリジナルのトリックの表面部分を完璧にトレースしてたというのは凄く巧みな脚色だと思いました。
原作のカメラマンを排除し、目撃者の女子大生ペアを愛花と鼻に置き換えてしまったら、もう犯人の選択肢ほとんど残ってないじゃないですか。
しかも愛花の捨て推理が原作の正解をトレースまでさせるとはw

そして、わたしが今回の「こうもり」での最大の脚色ポイントは、
「犯人の当ての純粋推理空間においても、まだトリックが継続していた」というところだと思いました。
というのも、「御前のサルーンは純粋推理空間であり、犯人を指摘するためのフェアな空間、つまり小説では嘘をつかないことになっている地の文に相当する」というのが、このドラマでは積み上げてきた暗黙の了解になっていたと思ってたもんですからヽ(´o`;

いやね、耳を掻く癖には気がついてたんですよ。けど推理空間のお約束の思い込みで混乱してしまいました・・・

作家の妻が偽物と一緒にいた、という原作でも重要なポイントを、謎解きの空間に持ってきてところも原作トリックのコアなアイデアを上手くドラマの約束を逆手にとった構成に置き換えたなあ、と思います。


あと、使用人が替え玉だったというのは少々蛇足にも思えましたが、この辺りは原作未読組にも、「松重さんが立ってれば使用人と思ったのか?誰がそんなこと決めた?」という、暗黙の約束をひっくり返した効果を知ってもらうための演出でしょう。お陰で、ついに「現場中継」というパターンに上手く繋げられたわけで、本当に手が込んでます。

今回のアイデアのあれこれを練ってたスタッフは楽しかったろうなあ。

あと、中村俊介浅見光彦弄りで目立ってませんでしたが、魔性の女の高岡早紀のキャスティングというのもひとつの見どころだったのではないでしょうか。
・・・弄りにくいかw


さあ、あと残り2話。
原作では「貴族探偵」の根本のコンセプトそのものがシリーズ全体の通じて準備された伏線を回収する見事な大オチになってました。
ドラマでは「全てが反転する」というラストが仄めかされていますので、どんな手を繰り出してくれるか楽しみですね。

いまさらですが、ドラマスタッフが仕掛けてくる罠を存分に楽しむために、是非とも原作を読まれることをオススメします(^。^)

正解するカド 第9話 ・・こ、これが野崎まどか(@_@:)

前回予告通り今回ネタが明かされました。
amori.hatenablog.com
もう、本当に思った通りの展開で(^^)v・・・
・・・
・・・
・・・
・・・(ラスト1分)・・えぇぇぇ(@_@)

・・・なんといいますか、バラエティのクイズ番組でよくある
「最終問題は100ポイントの逆転チャーンス!!」
で大逆転くらった感じですww


*** 以下内容に触れます ネタバレ注意 ***

ノヴォとヤハクィの背景はほぼ当初の予想の範囲でした。
ワムの次に与えられるのは無限の情報処理能力というのも、まあサンサとナノミスハインが相当してました。

さらに7話8話の浴衣・デート回がユルめにみえて沙羅化が今後の重要な展開を担うであろうところまでは予測できてましたが・・・・

沙羅化と異方のつながりってそっちの方かよヽ(´o`;

第3勢力の登場というオプションはかなり早い段階で切り捨ててたんですよ。
ヤハクィがいうところの「情報の繭」(わたしが箱庭宇宙・ヴァーチャルユニバースと呼んでたもの)は、要するに多数ある試行錯誤のひとつなので、完全にノヴォの管理下にあるはずで、他のノヴォ及びそのアバターである異方存在はない、と考えていました。

沙羅化の幼女時代の写真などミスディレクションとして反則だあ(^。^)

・・・20年以上もこの宇宙を見守るために潜り込まされていたのかな?

ということは、ノヴォの側にも色々と事情があるようで、ヤハクィが言ってた「多次元の隙間を埋める貴重な情報の繭」という説明もちょっと怪しいとこがある。
真道を連れて行きたいのは、情報の繭を量産するための種としてなんだろうか。

ヤハクィ vs 沙羅花 が、
密漁業者 vs 自然保護組織
みたいな構図になったりしないよなあ・・

まあ、残り3話はビジュアル的にも大きな展開あるそうなので、さらなる
斜め上の展開を期待しましょう(^。^)

追記
今、このインタビュー読むと含みがわかって味わい深いですわ
nizista.com
正解するカドM・A・Oインタビュー「隠されたものを含みつつ演じる楽しさ」|Nizista (ニジ★スタ)

正解するカド 第8話+ 終わりのオプション

ここが初めての方は、こちらで物語の設定考察を確認ください。
amori.hatenablog.com

第8話の予告で「お前は神なのか・・」というセリフや多数のカドの描写がありました。ということは、いよいよノヴォがこの世界の創造主で、この世界はノヴォがなんらかの答え=正解を得るための計算機・情報処理装置で、あるとが明かされるのではないかと思われます。

プロデューサーインタビューによると、最後の3エピソードでは観たことがない映像が繰り出されるとのことですから、カドの類、もしくはそれを超えてくる映像が見られ、つまり新たな世界の創造と旅立ちが描かれるのでしょう。

ところで第7話の感想スレによると、ヤハクィが読んでた「人間万歳」という話は、神様が人間を造る話なんですね。もう、設定隠す気ないようで(^_^

http://anicobin.ldblog.jp/archives/51418352.html?p=9

312: ななしさん 2017/06/02(金) 23:03:05.70 id:JPKVRBGk0.net
武者小路実篤「人間万歳」
神様・天使・滑稽天使などによる天上界を舞台にした戯曲
滑稽天使が何か出来損ないなのを作っていて
それを他の天使たちが笑ったり神様があきれたりしてたんだけど
ある時そこへ隣の神様がやってきて滑稽天使が作ったものを
「それは人間という素晴らしいものですよ」と指摘する

というような話だったような
その頃の作家が書いたにしては「隣の神様」という
パラレルワールドのような概念が出てくるのがちょっと物珍しい

さて、先の記事でオープニング映像を根拠に「沙羅花異世界転生エンド」を予測しましたが、残り4話もあるるのでまだまだ話の振り幅が残っています。

可能性のあるオプションを他にも妄想してみましょう。

ヤハクィはこう言いました。

「世界には問題が存在し、それを解く事が世界の意義となります。人類は問題を解決しなければならない。正解に近付かねばなりません。その為に“サンサ”があります」

これプログラマの言い方に置き換えると、
「各タスクは最適解を求めるためにパラメタをそれぞれに変化させて実行される。最適解への到達を加速し精度を上げるためにアルゴリズムの改修もする」

何が言いたいかというと、ノヴォが作った、走らせている世界はこの宇宙だけじゃない、ということです。サンサの説明で示されたように多次元平行でリソースを投入できるんですから、膨大な世界を使って正解を期待するのが当然です。

そのような前提で今後の展開のパターンを考えてみますと、

1) 正解放棄
人類「異方存在は異方におかえりくださいな」
異方存在「この分岐世界、使えねー。」
→アボーンエンド

2) ロールバック
人類「正解できませーん(@_@)」
ヤハクィ「惜しいなあ。いいとこまで来てたんだが・・・初動をやり直してみるか。春埼、リセットだ」
春埼「リセット・・・2017年7月27日です」
→カド出現からやり直しエンド

3) ロールオーバー
人類「やった。正解を超える正解にたどり着いぞー」
ヤハクィ「よしよし。正解を教えたまえ」
人類「教えたらこの世界放棄するつもりだろ」
ヤハクィ「教えなくてもアボーンしたるぞ。はよ教えぇ」
人類「へーんだ。正解したらリセット回避も分かったもんね。クロックはこっちの方が早いから下手のことしたらノヴォの 異方世界まで吹っ飛ばしまっせ」
ヤハクィ「(どうしてこうなった)」
→人類勝利で新たな神になるエンド

4) 夢オチ
品輪「という夢をみてワムができてエネルギー問題解決しましたー」
世界「サンサは?サンサはできんのか?」
→品輪助手争奪戦が始まり、エネルギーに糸目をつけないワムボムの応酬で人類滅亡エンド


・・・やっぱり沙羅花エンドがいいなあ(^_^)

正解するカド 第8話 終わりの始まり

正解するカド」のわたしの解釈と予想
「ノヴォはこの宇宙、実はヴァーチャルな箱庭宇宙、の創造主であり、コンタクトの目的は人類文明の超加速によるノヴォを超える文明の収穫」
の詳細ついては、過去の記事を参照ください。
amori.hatenablog.com

以上を仮定・前提として今回のエピソードを観ると、実に示唆的な内容でした。

沙羅花は、異方存在がこの宇宙を変えてしまうことを恐れて異方存在を帰すことを主張します。
「この宇宙は『自然に』生まれたもの。守るべきもの」との想いから。

しかし、同時に沙羅花が家業の彫金の龍を紹介した時に「空想の生き物を『形作って信じる』ことができる」とも言っています。
これは沙羅花が無意識のうちにこの宇宙が『創られた』ものであることを感じており、その無意識が異方存在への拒否の結論を導いているのではないでしょうか。

幼い沙羅花が持っていた彫金の亀。古くは亀が宇宙を支えるものの象徴でした。
彫金の亀が暗示しているのは、宇宙もまた人の手によって作られること、でしょう。

・品輪助手の折り紙ワム、
・真道母の亀の折り紙、
・そして沙羅花の彫金の亀。

これまでの象徴的な造形がどれも女性にリンクしているのも偶然ではないはずです。

つまり、人類もまた新たな仮想の世界を生み出すということです。


品輪助手のワムの折り紙で示されたように、
形状こそが異方との境界を現出させる本質であり、サンサによってカド・異方の概念を認識できるようになった人間には、カドの向こうの事象を利用し新たな科学を発展できるようになります。

それこそがノヴォの目的です。この宇宙は人間という処理プロセッサを大量に高密度高サイクルで稼働させるためのプラットフォームとしてノヴォが作り出した存在なのでしょう。

それでは、この先ヤハクィによって人類はどこに向かわされるのでしょうか。そしてその結末は?

現時点での手がかりはオープニングの映像シーケンスでしょうか。
壁画で人類の進化が暗示され、現代の写実的な描写に繋がり、最後は繭で再生を待つかのような女性、たぶん沙羅花、が描かれています。

ここから推測するに、この物語は人類が作り出す新たな世界に沙羅花(のアバター)が新たな交渉官、すなわちその世界のヤハクィザシュニナとして転生し、新たな文明の発展に関与する、という結末にむかうのではないか
と思うのです。