正解するカド 第8話 終わりの始まり
「正解するカド」のわたしの解釈と予想
「ノヴォはこの宇宙、実はヴァーチャルな箱庭宇宙、の創造主であり、コンタクトの目的は人類文明の超加速によるノヴォを超える文明の収穫」
の詳細ついては、過去の記事を参照ください。
amori.hatenablog.com
以上を仮定・前提として今回のエピソードを観ると、実に示唆的な内容でした。
沙羅花は、異方存在がこの宇宙を変えてしまうことを恐れて異方存在を帰すことを主張します。
「この宇宙は『自然に』生まれたもの。守るべきもの」との想いから。
しかし、同時に沙羅花が家業の彫金の龍を紹介した時に「空想の生き物を『形作って信じる』ことができる」とも言っています。
これは沙羅花が無意識のうちにこの宇宙が『創られた』ものであることを感じており、その無意識が異方存在への拒否の結論を導いているのではないでしょうか。
幼い沙羅花が持っていた彫金の亀。古くは亀が宇宙を支えるものの象徴でした。
彫金の亀が暗示しているのは、宇宙もまた人の手によって作られること、でしょう。
・品輪助手の折り紙ワム、
・真道母の亀の折り紙、
・そして沙羅花の彫金の亀。
これまでの象徴的な造形がどれも女性にリンクしているのも偶然ではないはずです。
つまり、人類もまた新たな仮想の世界を生み出すということです。
品輪助手のワムの折り紙で示されたように、
形状こそが異方との境界を現出させる本質であり、サンサによってカド・異方の概念を認識できるようになった人間には、カドの向こうの事象を利用し新たな科学を発展できるようになります。
それこそがノヴォの目的です。この宇宙は人間という処理プロセッサを大量に高密度高サイクルで稼働させるためのプラットフォームとしてノヴォが作り出した存在なのでしょう。
それでは、この先ヤハクィによって人類はどこに向かわされるのでしょうか。そしてその結末は?
現時点での手がかりはオープニングの映像シーケンスでしょうか。
壁画で人類の進化が暗示され、現代の写実的な描写に繋がり、最後は繭で再生を待つかのような女性、たぶん沙羅花、が描かれています。
ここから推測するに、この物語は人類が作り出す新たな世界に沙羅花(のアバター)が新たな交渉官、すなわちその世界のヤハクィザシュニナとして転生し、新たな文明の発展に関与する、という結末にむかうのではないか
と思うのです。
映画「メッセージ」関連情報
SFマガジンに掲載されている映画「メッセージ」の紹介・解説記事がcakesに再掲されていました。
これによると、原作に惚れ込んだ脚本家がなんとかプロデューサーを見つけ、映画としての巧み脚色を施した脚本を仕上げたことで監督を、女優を、そして原作者テッド・チャンをも動かしたことがわかります。
とにもかくにも脚本ありきだったんですね。
この他にも色々と興味深い情報があるので映画観賞済みのかたは是非ご一読を。
ところで、日本に現れた宇宙船は劇中でもパンフにもHokkaidoとなってましたが、記事では「緯度経度から釧路」とありました。
画像を見る限りは明らかに函館ですよ(^_^)
緯度経度ってどこの情報かなあ、とググって見つけました。
http://www.impawards.com/2016/arrival_ver2.html
元のポスターの右下にさりげなく緯度経度情報が入ってたのですね。
Google mapで緯度経度を確認してみるとたしかに釧路でした。
まあ、たしかに北海道には違いないですが、明らかに場所特定できる画像を使うのなら、緯度経度もきっちり画像に合わせてほしかったなあ(^_^;)
推測するに、ポスター製作は本編とは別に制作されていてHokkaido以外ののビジュアルはそちらに一任されてたのかもしれませんね。
ちなみに作中の数学考証の絵ではさらに大雑把で.北海道ですらありませんw
gigazine.net
映画の感想(ネタバレなし)はこちら
amori.hatenablog.com
貴族探偵 原作⇔ドラマ どっちからでもすんごく面白い
ツイートの補足
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https://twitter.com/amori_twt/status/869884177944002560
#貴族探偵 のドラマの第4話、温泉密室の原作をようやく読んだ。放送後の麻耶クラは「原作はもう一捻り」と言ってたが、本当に「え?ちょ、あれ?え?」ってなった(^_^;) すれっからしミステリファンにはドラマが強烈なミスディレクションになってたわ・・未読のかたはおすすめ
***
貴族探偵のドラマ、先日の第七話で原作組も大騒ぎのシリーズ構成全体への仕込みが明らかになりました。
原作組そしてかなり特異な麻耶クラスタみたいな層が狂喜乱舞するような映像化ってほんとに史上稀なことなのではないでしょうか。
わたしはこのドラマ化ではじめて麻耶作品を知って、ドラマと追いつ追われつで原作を読んでるんですが、5話からの演出脚色の加速感はほんと凄いと感じてます。
で、ツイートしたように原作の順番の関係で第4話(釈由美子ゲスト回)の原作を今頃読んだのですが、マジに
「え?、ちょ・・あれ?え?ええ?えええっ(@_@)?!」
なってしまいました。
いや、わたしもまあ人並みにはミステリ読んでるので、その種の仕掛けには精通
してるつもりだったんですが、下手にドラマのプロットが記憶が強かったのがミスディレクションになってしまいました。
第七話(広末回)の改変の記憶も間接的なミスディレクションになってたかな、とも思いました。
いやー、それにしてもミステリでこんなに「ええええ???」て、錯乱混乱したのほんと、久しぶりだったなあ。
ドラマスタッフ、そして原作にネタバレなしで優しく丁寧に導いてくれた麻耶クラスタに感謝(^_^)
犯罪症候群 season1完結
東海テレビ製作でフジテレビ土曜深夜「大人のドラマ」枠で放送されてました「犯罪症候群」全8話が完結しました。
貫井徳郎原作の症候群シリーズ三部作の最初のふたつ「失踪症候群」「誘拐症候群」で構成されたseason1、
わたしの期待通り、season2「殺人症候群」のセットアップをきっちり果たしたと思います。
「え、セットアップ?十分面白かったけどなー」と思ったあなた。
あなたは幸せです。迷わずwowowに加入しましょう。さらなる楽しみが待っています。(^_^)
殺人症候群では前の2作で固めてきた構図を活かしきって、それをぶち壊してきます。そしてseason1で繰り返されてきた「復讐」というテーマを重〜く提示してくるはずです。
wowow加入済みだけどseason1見てなかったわー、というあなた。
なんとかしてseason1を観ておきましょうね。後悔しますよ。
原作読者でいきなり殺人症候群を読んで「失敗したー」と後悔した人は決して少なくないんですよ(^_^;)
正解するカド: 第7話 浴衣回ですかw
「もう眠らなくていい」
という衝撃のヒキから二週間。
話が大きく進むのかなと思ったら、温泉回・水着回ならぬ浴衣回w
まあ、あからさまなミスディレクションでしょうね。
もちろん今回のヒキである「交渉側の分裂の危機」の導入舞台としての縁日なんでしょうが、
今回の爆弾は「人間の知覚を次元を超えて拡張すること」
そしてそれを視覚のインプットだけで実現してしまうところです。
「眠らないでいい」
というのは、その変革の極々一部の側面でしかありません。
人類の生産性が何倍かになる、というのもミスディレクションですね。
この変革はまずメディアで何億人かに影響を与え、眠らないどころか一人が次元を超えたマルチタスクで何倍何十倍もの
思考を実行することになるでしょう。
そしてなんといっても、カドの感覚を理解した上での思考の加速。これが決定的に文明の発展を超加速するでしょう。
「ヤハクィは次に超情報処理能力を提供するだろう」という予測は、ワムのようなモノの提供ではなく、人類自身の変革となりそうです。
これはノヴォが人類を次のステージに導く一歩でしょうか?
それとも収穫のための育成・品種改良の一歩でしょうか(^_^;)?
Smart Newsで微バズった
昨日寝る前に書いた「メッセージ」感想記事が、夜のうちに意外にアクセスあったので
「お、これはメッセージがブレークしつつあるのか(^_^)?」
と思ったらSmart Newsからの流入でした。
ブックマークはセルクマひとつ、リツイートもされてないアイキャッチの画像もない記事を、アップしてから30分もしないうちにピックアップするとは、Smart News仕事速い。
おそらくはブックマークのタグとツイートのハッシュタグ「メッセージ」から辿れる記事を自動的にピックアップして、内容が適切かつサイトの方針に合っていたならば採用されるのでしょう。
「メッセージ」公開まもない映画で、Smart Newsの映画のページにはパブリシティの一貫であろう記事もいくつかあるので、ブログからピックアップする基準は半自動で更新されているのでないかと。
ひとつ興味深かったことがありまして、
記事のタイトルは、昨日時点でいい加減に仮入力したままアップしてしまったので、
『映画「メッセージ」原作テッド・チャン』
という、だから何?というものだったんですけど、(^_^;)
朝になってから
『映画「メッセージ」テッド・チャン珠玉の短編の映画化』
と、も少しアピールポイントを修正しました・・・・あ、「映画」が重なってた・・・ま、いっか(^_^)
で、この修正もしばらくしたら反映されてました。
ということは、Smart Newsのアプリに表示されるタイトルは自動的に元記事との整合性を更新してるってことですね。
てことは、
Smart Newsにピックアップされやすそうな狙った記事を書いておいて、ピックアップされてから論旨をぐるっと変えて、Dis記事にしたり、タイトルを変えてしまうということも可能なわけで・・・やりませんけど(^_^;)
映画「メッセージ」テッド・チャン珠玉の短編の映画化
テッド・チャンの短編集「あなたの人生の物語」は、今なお、わたしのSFのオールタイムベストであり、オススメのSFを問われたならば、人生において巡り会うべき一冊として挙げる本です。
その表題作※(Story of Your life)が映画化されると知った時はかなり驚きました。
原作小説は繰り返しになりますがオールタイムベスト級の作品です。しかしいかんせん短編です。短編として珠玉な作品なんです。
ファーストコンタクトにおけるコミュニケーションの謎解きと主人公の人生がオーバーラップするというその内容は、語り口が非常に内省的かつ叙情的で、そのテイストそのものが静かなSF的なインパクトを持つというものです。
このような作風の短編を一本のメジャー作品として膨らますというのは、まあ普通に悪い予感しかしないですよね。
映画原題もARRIVALだし、チャンの原作は原案あつかいなのかなあ・・・
実際、公開前の宣伝情報では「原作にはない、ファーストコンタクトが引き起こす世界の緊張という要素が加わえられた」と知って、ますます「ソレジャナイ・・」感が強まっていました。
そう思いつつも劇場に足を運ぶに至ったのは、やはりそうは言ってもテッド・チャンの作品がどのように映像化されるのかをこの眼で確かめたかったのと、「正解するカド」で今現在ホットなテーマであるファーストコンタクトものアレンジに興味があったからです。
で、インプレッションです(ネタバレなし)
メジャー作品としてプロットを膨らませてあり、表面的にインパクトのあるメインの展開は映画独自のものでした。
しかし記憶と印象に残るであろうエンディングはたしかに原作のコアなテイストをしっかりと保っていました。
主人公の人称視点は最後までぶれることなく、画面構成も一貫して抑制の効いた落ちついたもので、一歩間違えると地味で難解なアート系映画になりかねない作風のところに、絶妙なバランスで話を広げてエンタメ性とプロットの理解を容易にする構成を実現させていました。
原作通りのプロットだったらSFに慣れてないと終盤の展開を理解できないまま観終わってしまう人が多数でたかもしれません(^_^;)
・・ほんとにギリギリですけど、原作を壊さずに見事にメジャー作品に仕上げられたなあ、と素直に賞賛を贈りたいです。
面白かったあ(^_^)
※短編集のタイトル原題はStories of Your life and others